第2章 新生活
「ここの文字、違うと思う。」
「ママ、これお父さんの書類。」
「この書類、期限近いよ?」
ジャーファルは、隣に座っている小さな少女に感謝しかなかった。
レイは文字が読めたのだ。そのおかげで今、彼の机の上にあった書類は普段の倍近くのスピードで処理されている。
ジャーファルの書類だけじゃない。
レイ「ママ、お茶とサンドイッチ。」
と、定期的に食事と飲み物を提供してくれる。
昨日までは脱水症状で倒れる文官が1日に1人はいたのだが、今日はまだ出ていない。レイが定期的に提供してくれるおかげだろう。
お昼の時間になっても誰も部屋を出ていかない文官達を見て、レイが悩んで出した答えである。
“出ていかないのなら持ってくればいい。”と。
ゴーンゴーン・・・と終業を告げる鐘が鳴り、文官達はようやく仕事をする手を止めた。
文官1「今日はいつもより進んだような・・・?」
文官2「俺もです!」
ジャ「・・・ありがとうございます、レイ。おかげで今日は宴の後も仕事をするという事はなさそうです。」
レイ「・・・ママは一緒に寝るんだよ?」
ジャ「!・・そうでしたね。すみません。」
と和やかに話しているレイとジャーファルを見た文官達は気付いた。
今日スムーズに仕事が出来たのはレイがいたから、という事。
一度、ジャーファルは政務室を飛び出してシンドバッドを探しに行った。しかし、その間もレイが仕事を手伝っていた為に書類が止まる事がなかったのだ。
もう1つは、
レイがいれば、ジャーファルはきちんと寝る。という事を。