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落ちた一雫

第2章  新生活



レイ「・・・レイです。11歳です。よろしくお願いします。」



ピス「え、11歳なの?って事は・・・王様15歳で父親だったの!?」
ヤム「随分とお若いですね、王。」
シン「は、はは・・・。」


ジャ「本日は夕刻からレイの歓迎祭をしますので、それまでに仕事を終わらせて下さいね。」
ヒナ「ふむ。終わらなければ?」
ジャ「宴には参加させませんので。(ニッコリ」





朝議が終わり、レイは政務室にいた。
ピスティやヤムライハ達に町に誘われたのだが、レイ本人が一言であっさりと断ったのだ。



レイ「ママといるから、いい。」



というわけで、急遽ジャーファルの隣に椅子と机が用意され、現在そこに座っているレイ。
彼女に目を行かせながらももくもくと仕事をする文官とジャーファル。どうやら仕事が溜まっているようだ。




ジャ「すみません、これをシンに届けて下さい。」
文官1「了解しました!」
文官2「ジャーファル様、この案件なのですが・・・。」
ジャ「はい、何でしょうか。」




忙しそうに働いているジャーファルをじっと見るレイ。
不意に椅子から降りて移動しているが、忙しなく仕事をしている文官やジャーファルは気付かない。




バンッ!と勢いよく政務室の扉が開いた。


文官1「ジャーファル様!!王がまたも逃げました!!」


その一言で一瞬動きを止めたジャーファル。



ジャ「あんの・・・バカ王がぁぁぁぁああああああ!!」

ダァンッ!と机に拳をぶつけるジャーファル。その音にびっくりして顔を上げる文官達。


ジャ「ハッ)しまった・・・!墨のフタを開けたままに・・・!・・・?」


しかし、ジャーファルが机の上を見ると、墨そのものが見当たらない。



「ママ、零しちゃうよ?」


そう言いながらすっと顔を出したレイ。その手には先ほどまでジャーファルの机の上に乗っていたフタの空いている墨があった。



ジャーファルの背にゾッと寒気が襲った。



もし、レイが墨を持ってくれていなければ大事な書類に墨を撒き散らすところだったと・・・。



ジャ「レイ・・・ありがとうございます!」


ジャーファルは勢いよくレイを抱きしめた。
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