第10章 知らないフリ
仁王側
来てみればいつもの2人組が居った
上風「こんにちわッス」
『こんにちは』
コートに入って準備体操をする
切「黒空先輩ッ!」
『なんですか?』
切「試合してくださいッス!」
『...いいのですか?』
幸「影夜がいいのならいいよ」
切「ダメッスか?」
子犬のように影夜に頼み込む赤也
それにため息を1つついた影夜は嫌そうな素振りはなかった
『いいですよ。その代わり、しっかりと準備運動をしてください』
切「ッス!」
いつも以上に気合が入っとる赤也はコートの外周を走っておる
一方、影夜は
『......』
鞄の中を見つめて何やら考え込んでおるようじゃ
幸「さて、どんな試合を見せてくれるのかな?」
柳「独特のフォームから打ち出されるボールをどのように返すかが問題になってくるな」
真「だが、そこをつけばいけるのではないのか?」
柳生「相手の持ち球を熟知していないこちらは不利でしょう」
ジャ「取りあえず、デビル化しなきゃいいけど」
丸「デビルはなくとも、赤目はありえるだろぃ」
俺は静かに影夜のそばまで足を運ぶ
仁「右で行くんか?」
『いえ、昨日のダメージが意外と残っているので左で』
仁「そうか」
いつもと違うラケットを引っ張り出し
いつものラケットをしまい込む
最後にファスナーを上げればラケットを左で持ち
感触を確かめているようじゃ
『優真、調整をお願いします』
上風「いいぜ」
いつもの様に2人でコートに入る
外周の終わった赤也はタオルで汗を拭いておった
ガットをいじっておった影夜はポケットからボールを取り出すと
優真は体制を低くして打ち返す体制に入った
『行きます』
トスを上げ
パァアン!
「「!!」」
早い
ボールはしっかりと中に入り優真も難なく打ち返したようじゃ
やはり違和感のあるフォームぜよ
綺麗には綺麗なんじゃが何かが違う感じじゃ
右に比べると力はないがコントロールが抜群じゃ
一体、どういった感じに打てばあんなにも鋭いボールが打てるのじゃろうか
『優真、終わらせます』
上風「言ってくれるぜ」
影夜が高いロブを上げた優真はそれを追いかけてスマッシュチャンスを狙って居るようじゃ