第10章 知らないフリ
柳側
今日は朝練がない日で午後練もない日
午後は部活の先輩方が明日に向けて最終調整を行うらしい
そんな俺達はいつもの河川敷のテニスコートで優真と打つ事が決まっている
幸「大胆なゲームを仕掛けられたものだね」
仁「アイツこそ詐欺師に向いてるぜよ」
精市のクラスに行けば
昨日、仁王は白川にゲームと言う名の大胆な掛けを貰ったらしい
正門では風紀委員の仕事をしている弦一郎と柳生の姿が見えた
柳「しかし、クイズとはな」
仁「なぞなぞでもなく、純粋に聞かれておるから手こずるナリ」
幸「それで?もう1つの名前の目星は付いているのかい?」
仁「目星は付いておっても絶対とは限らん」
柳「期間が長いのはそのためか」
約3ヶ月の制限時間
そして、答え合わせは仁王の誕生日
何が目的なんだ?ますます気になる存在だ白川氷月
幸「しかし、なんで急にそんな事をし始めたのだろうね?」
仁「そうじゃのう。何が関係しとるのやら」
柳「...俺にそんな視線を注がれても不明の一言で返す」
2人は俺をじっと見ていた
柳「なら、白川氷月に関しておさらいでもしといたらいいのではないか?」
幸「それもそうだね。どうだい?仁王」
仁「そうじゃな、皆で考えた方が早いナリ」
結局、放課後の昼までそれぞれ考える事になり
俺は自分のクラスへと戻ったのだが
10分前にも現れない白川
一体何かあったのだろうか?
5分前になれば平然と後ろから入り
何事もなかったかのように座り鞄から読書用の本を取り出す
柳「遅い登校だな」
話しかければ本を閉じてこちらを向く
『ええ、朝から優真の襲撃があったので。遅刻になるかと思いました』
朝から優真が?
柳「...いつから来た?」
『朝の5時半です』
柳「...ご苦労だったな」
『ありがとうございます』
そんな早朝から一体なんの用事で来たのか
『因みに、彼は今日提出予定の課題を教えて貰うために来たそうです。今頃、教室の一角で寝ている事でしょう』
柳「そうか」
俺の疑問はすぐに返されてしまう
何を思ってのゲームなのかも気になるが
それを聞いてしまえば反則に値するだろう
HRの時間になり担任の先生が入ってこれば
今日の課題を提出する