第1章 壱
叩かれた所は特に痛くないのだが、
それよりも後ろから聞こえた気になる声に
慌てて後ろを振り返る。
そこには
バインダーの様な物を手に持ってムスーと
頬を膨らませる弘樹。
恐らく先ほど頭を叩いたのは彼だろう。
「もー、折角家の中で隠れて待ってたのに…」
右手に懐中電灯を持ちこちらを照らし
呆れている大和。
「まぁ、無事で良かったよね」
ははは、とにかっと笑いながら
「おかえりなさい」と言ってくれる尚人。
と、何故かレンジの三人が目の前に立っていた。
「は?な、や…なまっ…ひ?へ…え?」
イキナリの三人の再登場にパニックで
言葉がおかしくなる優衣に反して
惠梨香と悟空のオバカ兄弟は三人に向かい走って行った。
「わぁ~.゚+.(´∀`*).+゚.レンジやぁ!」
目をキラキラさせながら
「本物?」と興味津々な惠梨香。
「なんでこんな所に居るんだ?」
もしかして…、
優衣ちゃんのストーカーか??」
無邪気な顔をして
普段止めてくれる人(優衣)が固まっている事を
いい事に失礼な事をしまくる二人。
そんな二人にも動じずに
尚人が二人の前にしゃがみこみ
笑顔で爆弾発言を言ってのけた。
「んー?何で居るかって?
それはね…、これから此処で住もうかなっておもったんだよ(`∀´)」
「あれ…3人で住むの?」
優しい声で楽しそうに言う尚人に
石化が漸く治った優衣は首をかしげる。
「うん!君の家にね((●゚ν゚)♥」
その疑問に
満面の笑みで優衣の方に指を指す尚人。
え…
「私の…家?」
意味がわからず頭に??を浮かべたまま
他の二人も見るが、二人ともニッコリ笑っているだけだ。
「なんで急に…」
少し裏声になりながら
誰ともなしに呟くと
「ありゃ?君のご両親には許可はとったよ?」
おかしーな?
首を傾け言う弘樹に
(あのクソ爺共…後で覚えてろ…)
内心自分の親に怒りが爆発しそうな優衣。
「…ええと、じゃ、じゃあ…これからは弘樹さん達と
一緒…で?」
気を取り直し
改めて恐る恐る聞く彼女に…
「うん、そういう事だね((●゚ν゚)」
3人はニッコリと微笑むのだった。
ああ…、三人と暮らすのはすごく
嬉しいけど…
(これから、どうなるのかなあ…)
明日からの生活を考え
重いため息を吐く優衣だった。