第1章 壱
ようやく説教が終わり
すっかり暗くなった道を歩く3人。
「はあ?私、そんな事してた?」
さっきまでの自分の様子を聞いて
固まる優衣に悟空と惠梨香は大きく頷く。
「うん!返事しやんだんやもん。ね、恵梨香?」
「うんうん…、顔つねっても、鼻詰まんでも
何も反応せんだよ!」
詳しく説明する二人に聞いていた彼女は
目を細めた。
「ほぉー?この顔痛いのお前の仕業か。」
背後に黒いオーラを漂わせ
腕くみをする優衣。それに慌てて
口を開く二人。
「え…( ̄ω ̄;)いや、悟空なんか耳引っばっとったよ!!」
「ふーん?つまり二人ともの仕業やなんやな…?」
ますますこわい顔になる一方だ。
「「えっ( ̄ω ̄;)…え、と…??」」
じとーとした目で見られ
しどろもどろになる二人。
それに
優衣ははぁーと深いため息を吐いて
静かに二人の名前を呼んだ。
「はい、二人とも覚悟はええな?」
にこーっと完璧な笑顔をつくり
ゆびをポキポキ鳴らし二人に言う。
それに二人の顔はみるみる青ざめる。
怖がる二人に、近づいて行く思い切り笑顔な彼女。
少しずつ近づいてくる二人と一人の距離
あと少しで3人の距離がなくなる、という時…
「こら、寄り道はダメだよー!」
笑いながら怒る優衣の頭を
誰かが背後から軽く叩いた。