第1章 壱
ーー下校時刻…
「…はぁ……///弘樹にキスされた//////」
独り言(その割には丸聞こえ)を呟き
キスをされた頬を
何度も摩ってはほわ~とした顔をする優依。
「「よかったねぇ~;」」
その独り言に一緒に下校していた
一年の恵梨香と悟空のおバカ兄弟は苦笑い。
((また始まったね…;))
前を歩く優依に気づかれないように
目と目を合わせてはぁ…とため息をついた。
実はこの二人がこんな反応なのは
先程から同じことを聞かされているからで。
余程嬉しかったんだろうな…と思うが
流石に22回も聞かされたら、なぁ…
そんな事を二人が考えていると
前を進む優依が急にぴたっと止まった。
「……」
(へ……?優衣ちゃん、どーしたんやろ?)
(あ、…まさか心読まれた?!←)
(え…、じゃあ、優依ちゃん超能力者なん!?.+゚.)
(ど、どうしよう;この前テレビでみた様な
事されたら…(汗)??)
(剣でグサグサ刺されて脱出…?だったっけ??)
(うん…アレの脱出しやんやつされるの…?)
(いや、いくら優依ちゃんでもそんな…そんな事はしやん…よ?(汗))
(……じゃあ。あの、体を箱に入れられて
三分割にするやつ…?)
(……(汗))
(……頭とお腹入れ替えられるん…??)
(………)
(………)
(……(涙目))
((……嫌だあーっ!
うわああああん;;;;))
実際はそんな事は
ないし、超能力者はそれだけが
超能力じゃないが
今の二人は
信じてしまい軽くパニックだ。
わあわあと騒いでいると
「ねぇ…」
今まで前を向いたまま話さなかった
優衣が二人に向けて話しかけてきた。
その声にビクッと肩を揺らす二人。
(何か喋らないと…)
彼女の後ろ姿に凄い迫力を
感じながらも悟空は
覚悟を決め恐る恐る彼女に近づいた。
「…ゆ、優衣ちゃん?どうした…の??」
怖がりながらも
あれからまた喋らない
彼女の隣まで行くと
悟空は震えながら声をかけ顔を覗きこんだ。
(もし、般若みたいな顔してたらどうしょう…
やっぱりこわい…)
内心泣きそうになりながら
勇気を出して
顔を覗きこんだ後悟空は彼女の顔を見て
きょとんとした表情にしなってしまう。
その訳は
何故か前を向いたままの優衣が
顔を赤らめ驚いた顔をしていたからだった。