第10章 10話
鍵は掛けられておらず、閉まった扉を開け放つだけの門の前で少し躊躇する私。
この先に行ったら私はどうなるんだろう。
お風呂に入ったら少し身体も熱が冷めるんじゃないかと思ったのに外気に晒されても微動だにしない私の身体。
変な緊張と葛藤し門の扉を握っては離し握っては離す。そんな事を繰り返して数分が経った。
いい加減入らないと赤司に心配されると思い、思い切って門を開け、その勢いで家に突進する。
「山吹、遅かったな。夕食はもう用意してあるぞ。」
いつから待っていたのか、扉を開けると広い玄関壁に背をつけ本を読んでいる彼の姿があった。
赤司のいつもの態度に今までの私の行動が恥ずかしくって後退りたい気持ちが私を追いたて顔が赤くなる。
「お邪魔します。」
降ろした髪で赤く染まる顔を隠すように下を向きつつ、部屋に足を進める。
何とか普段を装うも前にいる彼の視線が気になって仕方ない。
「どうした?しんどいのか?」
本当は私が柄にもなく緊張しているのをわかっているくせにそんな事を聞いてくるから質が悪い。
「なんでもない。早くご飯食べよー!!」
私は赤司の席の隣に置かれたご飯を取り、一気に駆け込む。
「げほっげほっ。」
当たり前の事だが喉に詰まり咳き込む。私の横でそれを見ていた彼は私の背中を叩きながら相変わらず馬鹿だなぁ、とか何とか言っているが半分はお前のせいだ。と言いたい。
「はぁ。」
呆れからのため息が聞こえる。
「なによ。」
「いや、大した事ではないんだが。お前はいつも俺の想像を超える事をしでかすな、と思っていたところだ。」
「それはどうも!」
「あははっ。拗ねるな褒めてるんだから。」
「嫌味にしか聞こえないのにこれで拗ねるなとかよく言えるね!」
イライラし出した私に構わずお腹を抱えて笑い出した赤司にますます顔を赤くして怒る私。
「だからこそ心配だな。俺がいない所でまた変な男を釣って来るんじゃないかと。」
「そんな事しないけど!?」
「どうだか……これは今に始まった話ではないんだぞ?」
「どういう意味よ!そんなに男を引っ掛けてるとでも言いたいの?!」
「まぁ、そう怒るな。」