第10章 10話
結局店から出て、行く所と言えばさっきのコートに逆戻り。
「えっーと。5人で奇数っすねー。」
「俺はさっきしていたからお前達だけでやるといい。たまには見学というのも悪くないだろう。」
「了解っす。」
コートから出た赤司は審判のため、ベンチに座りジャッジをする。
私とさつきちゃんも座り見学をする。
「バスケはいいな。」
私の右隣で静かに囁かれた。
「赤司もやりたかったんじゃないの?」
「赤司くん入って良かったのに。」
「…」
「俺はいいんだ。ここで満足しているからな。」
そう言って私より大きい身体を私に傾けてくる。
「本当にラブラブだね!お似合いのカップルだよ。…私もテツくんと進展するよ!!」
「ふっ。頑張ってくれ。」
含み笑いの赤司に首を傾げるさつきちゃん。
きっと彼女は近すぎて気づいていないんだろうね。
「あぁ!!赤司っち何イチャイチャしてんすか!」
「赤司くん…交代…してもらって…も…構いませんか?」
既に汗塗れの黒子くんにだらしがないな、と一言言うと直ぐにコートに入って行った。
コートではかつての仲間達が赤司を待っている。それが今ではなんだか擽ったい。
こんな風にみんなが笑ってバスケをしている姿を見れてよかった。
そうこうしているうちに時間は経ってしまう。いつまでも見ていたいけれど、楽しい時間はすぐに過ぎてしまう。
「じゃーなー。」
「あぁ。」
「赤司くん、また帰って来たら連絡頂戴ね!」
「もちろんだ」
だんだん疎らになってさっきまで賑わっていたコートも3人になってしまった。
「赤司くん」
「どうした黒子。」
暗くなってますます人の認識が難しくなるにつれて元から影の薄い黒子くんは闇に紛れてしまう。
「僕が心配するまでも無い事ですが一応忠告しておきます。山吹さんはずっと君のことを待ってました。寄り道も沢山した様ですけど、僕にはわかります。山吹さんは凄く一途な方です。もう、彼女を泣かせないでください。」
コートを照らす照明だけが当たるこの場所で一つの影がとある一つの影に重なりずっーと遠くまで伸びていく。
「やっぱり僕が心配する必要はなかった様です。…あと一つ、リア充爆発しろーです。では、邪魔者は退散するとしましょうかね。お先に失礼します。」