第9章 9話
それから朝までぐっすりと一度も目が覚める事なく朝まで眠れた。目を開け、ベッドの端に置いてある時計に手を伸ばすと、いつもの起床時間より軽く1時間は早かった。
熱はまだ下がり切ってはいないがもうだいぶ下がっている様で頭痛と目眩はなくなっていた。
起き上がろうと布団をそっと開けようとするも隣で気持ち良さそうに寝むっているこの人を起こしかねないので起きるに起きれない。
もう一度布団に潜り込み寝顔を堪能する。ほんのいたずら心から、閉じられた瞼ををつつくとピクピクと眉毛が動く。何度かそうして遊んでいると突然ばっと片腕を掴まれた。
「おはよう、熱は下がったみたいだね。」
全然寝起きに聞こえない声と落ち着き具合。
「起きてたの?」
「山吹が起きる少し前くらいからかな。」
赤司は起き上がりベッドから出た。
「朝食は食べれそうか?」
「食べれる、というか寧ろお腹空いてるぐらいだから。」
私の返事を聞くと赤司は部屋から出て階段を降りて行った。朝食でも作るつもりなのだろう。
私は箪笥から着替えを取り出し階段を降りた。
「私お風呂に入るから。」
キッチンでフライパンを操作しているエプロン姿の赤司に声をかける。
「わかった。」
脱衣所の扉を閉め服を脱ぎ、洗濯機に放り込む。風呂場では電気を付けずに日の光だけで過ごす。それが何となく光合成が出来そうで気分がいい。
風呂を上がり服を着替えドライヤーで髪の毛を乾かす。
「先に朝食を取ってるぞ。」
掛けられた声に返事をし、ドライヤーを止める。
「朝食はパン派何だけど…」
「ご飯だ」
せっかく作って貰ったのにケチをつけるのは良くないと思いこれ以上は言わないと口を閉じる。
机にはご飯と味噌汁とチンジャオロースが並んでいた。
「いただきます。…美味しいねこれ。」
「そうか。そう言われると嬉しいな」
お手本の様な綺麗なの持ち方でご飯を食べる赤司。
「ご馳走様。悪いが俺は一旦着替えて来る。また後で来るよ」
白のスウェットに黒のジャージのスボン姿のままだった赤司は食器を洗うとまた玄関から出ていった。
私もご飯を食べ終わると食器を洗って片付けた。