第9章 9話
心細くなってベッドから転がり出ると部屋のカーテンをがっと開け窓を開放する。あいつの部屋に誰かいると信じて窓の外へと視線を移す。
電気は着いていないのでまだシャワーを浴びている頃だろう。
諦めてベッドに入りまた目を瞑り羊を数える。
1.2.3.......356.357.358...
ガチャ
玄関のドアが開く音が聞こえる。今日は両親ともに帰って来ないからこの家に来るのは1人しかいない。
足音が二階の私の部屋に近づいてくる。
コンコンコンと部屋をノックする音。
「入るぞ。」
「どーぞ。」
髪の毛は乾かさずに来たのか首に巻いているスポーツタオルに髪の毛から落ちる水が滴っている。
「家にゼリー飲料があった。スポーツメーカーの商品だから山吹でも飲めると思う。」
貰ったのはよく見るゼリー飲料。赤司の家にあるといったが、普段からこんなの飲んでいるのだろうか。
私は赤司から受け取り、冷えたそれを吸ってみる。
「今日はもう早く寝るといい。俺は一階のソファを借りるから何かあったら読んでくれ。」
そう言って私の部屋を出ようと背を向けてくる赤司に飲み切って空になったゼリー飲料を投げつける。
惜しくも気づいていた赤司にキャッチされた。
「おい。物を人に向かって投げる「知ってると思うけど。…うさぎって寂しいと死んじゃうんだよ?」
少し目を見開いている赤司に手を伸ばし着ていたスウェットの服を掴む。
「わかった、寝付くまでだからな。」
そう私に微笑みかける。
「今日は羊を数えてもなかなか眠れなかったからきっと寝れないよ。」
「それは困ったな。俺も寝れなくなる。」
「寒い頭痛いしんどい。」
私がそう言うと赤司は私の側まで来ると布団をゆっくり上げて入ってきた。
「ちょっと何してんの!?!?」
狭いベッドがギシギシ悲鳴をあげる。赤司は私の腰と頭を優しく抱える様に抱きしめて来た。
「人の体温て言うのは落ち着くらしい。それに暖かいだろ?」
そう言われればそうだけど近過ぎる。変に意識してしまうからいきなりこういった行為に移られると心臓に悪い。
「明日には熱下がるといいな。」
額と瞼に二つキスをされる。
赤司に沸騰しそうな私は布団を頭を被って目を閉じた。