第9章 9話
ようやく終わった攻防に息を乱す6人。コートを出ればやはりただの高校生だったことに私とさつきちゃんは大笑いしていた。
「お前たち、いい加減に帰らないと親に心配されるぞ。」
「俺らもうそんな年じゃないっすよー!」
「俺はお菓子のストック切らしちゃったからもう帰りたい〜。」
「ですが、まぁそろそろ帰らないと桃井さんや山吹さんの親御さんが心配されますから、ほら皆帰りますよ。」
「まぁそりゃそうだわな、帰るか」
「では先に帰るのだよ。」
一同は惜しむ事もなく自然にばらけて行った。もう次はこうやって集まるなんて事ないのかも知れないのに素っ気ない。
皆が帰り残ったのは私と赤司の二人。
「さて、俺たちも帰るか。」
いつの間にか私と自分の荷物を背負って立ち上がっていた。
「立てるか?」
人の荷物も持って更に私まで背負うつもりなのかしゃがんでいた。
「いいよ、早く帰ろ。」
いいとは言ったものの目眩と頭痛と寒気は更に悪化していた。このまま無事に家に帰れるか心配だ。
冷たい手がそっと私の手を握る。横を向けば心配そうに私を見ている顔。私は大丈夫家はあと少し、と自分に言い聞かせ踏ん張るも足が縺れてフラフラする。
「わっちょっと!!」
突然身体が持ち上げられた。私は肩に米俵を担ぐ様に担ぎ上げられていた。
「降ろして!!私重いから肩痛めるって!!」
暴れる元気はないけれど精一杯腕で抗議した。
「家はすぐそこだろ。それにこうしてると湯たんぽみたいで暖かい。」
「おろせー降ろせ〜」
「近所迷惑だぞ。」
「うるせ〜、降ろせや〜。」
「お前、年々口が悪くなってないか?直した方がいいぞお嫁に行けなくなるからな。」
「責任取れ〜!!」
「はいはいわかったから、もう喋るな。」
何だかあっさりと凄いことを言われたが熱に浮かされているのでそれどころではなかった。
それよりも、ずっと言わないと行けないのに言えずにいた事を思い出した。
「赤司」
「どうした?」
「沢山酷い事を言ったこと、ごめんね。つい頭に血が上ってた。」
「謝られる程の事でもない。あれは半分事実であったからな。しかし気にするな、とは言い難いかな。あれは結構堪えた。」
「ごめんなさい。」
私の腰に回った手に力が少し込められた。