第8章 8話
なんやかんやと押し付けられた仕事は思いのほか多かったようで全てを片付け終わる頃にはすっかり日は落ちていた。
生憎、体育館で居残り練習をしていた彼らも片付けを済ませ着替え終わっていたようで校門の所でずっと待っていてくれたようだ。
私「遅くなってごめんね。」
私が走ってかけよれば2人とも気にしていない様子だった。
緑間「さっさと帰るのだよ。」
高尾「つか、山吹ちゃん寒くねーの?今一応秋冬だから体調管理を怠ってたら風邪引いちゃうぞ。」
私「大丈夫、インフルエンザ以外はかからない人だからね!」
私が自信満々にそう告げれば笑い転げる高尾くんと呆れた顔で私を見つめる緑間くんと目があった。
緑間「インフルエンザどうこうではなく体調管理を怠ることがいけないのだよ、それにかかってしまえばどちらも良いものではないのだよ。」
そんな他愛もない話をすること30分、私たちはそれぞれの帰路についた。
緑間「気をつけて帰れ。」
私「ありがとね!」
高尾「じゃあーな。」
今日は高尾君が私を家まで送ってくれる。
今日はおばあちゃん家に行く用事はなく私に話があるらしい。
話の内容は何と無く想像出来てしまうから何だかいつもより口数の少ない高尾くんの横顔をちらりと盗み見れば黙って考え込んでいるように見えた。
高尾「やっぱさ、俺色々考えたんだけどこうすべきだと思うんだよな。」
私「何の話?」
高尾「山吹ちゃん、別れよっか。」
私は高尾くんの言葉に取り乱すことなく落ち着いた様子で聞くことができた。
高尾「なんかさ、付き合ってたのも単に俺が無理いってたの聞き入ってもらったみたいのもんだから山吹ちゃんに気を使わせたかなって思って。」
私「私は高尾くんのこと嫌いになったこと一度も無いよ。」
高尾「そっか。そんならいいんだけどさ、でもやっぱ俺と山吹ちゃんは友達とかそういう関係のがしっくりくると思うんだよな。」
苦笑いをして彼は歩いていた。
私は高尾くんの口から出る言葉に全て頷いた。
高尾「だから、今まで付き合わせてごめんな。」
申し訳なさそうに目尻を下げる高尾くんに私は軽く頷いた。
彼の目は言葉とは裏腹にさみしそうだった。