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続・厄介な天帝さん

第8章 8話


あの後すぐに秀徳の控え室に戻った。
幸いなのか最悪なのか、控え室には誰もいなかった。
携帯を確認すると観客席の方にいると先輩から連絡があった。

私はロッカーの前に置いてあるベンチに座り、膝と腕の間に頭を抱えこんだ。

誰もいない空間に1人、響く鼻を啜る音が辛かった。

こうして泣くことはよくあった。
原因は単純だし、いつもの事だったから。

喧嘩したら双方ともに口を聞かなくなって拗ねて、1人で泣いた。
大抵、赤司の方が折れるまでこの攻防は続いてた。

赤司は私より大人で冷静沈着なのに私の事となるとムキになることがあって言い合いになる。だけど、いつも私より賢く利口でよく出来た頭が出来の悪い私に頭を下げていた。しかし今回は私が一方的に悪い。言いすぎたことは自分でもよくわかっている、その上怒らせたのことも。
謝ればいいのはわかっているが、性格が変わって別人みたくなった赤司を私はどう思い接していいのかわからなくり、1人でロッカーに額をくっつけ鉄のひんやりとした冷たさで頭を冷やした。
そんな事をしたって結局解決作なんて思いつくはずもないのだけれど。

暫くそうしていると、外でキュキュッと言うスキル音が近づくのが聞こえた。

私は急いで目頭を抑え、ベンチから立ちスカートを払うと立ち上がり深呼吸して扉を開けた。
目の前の人は誰なのかわかっていたもののあいつじゃ無くて内心ホッとしたのと残念なのとで心の中が複雑な気持ちに駆られていた。

「みんな上にいるから行こうぜ。」

敢えて優しく振る舞う彼の優しさが今は何だか残酷だ。
俯いた私に苦笑した彼は私の頭を乱さないように手のひらでそっと撫でた。

「話せるようになったら俺にも聞かせてくれね??真ちゃんじゃ頼んないからな!」

頬をかく高尾くんは私の手を優しく握り控え室から連れ出してくれた。

その後、試合観戦していたチームの元へ行ったが、みんな試合に熱中しているため私に何があったのか気にしている余裕もないようでホッとした。
それに高尾くんが私の手を握ってくれていたのでいつもの調子に戻るのも早かった。

しかし、さっきの事が頭をずっとよぎる。






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