第7章 7話
高尾くんに家まで送ってもらう頃にはすっかり夕日も沈み外は暗く、寒かった。
高尾「じゃーなー。」
去り際、いつも私を包み込んで額にキスをする。
彼は私の唇には触れはしない。
それは高尾くんが赤司に宣戦布告した後からだった。
私「高尾くん、なんかいつもごめん。」
きっと高尾くんは私とあいつをくっつけるきっかけを作ってくれたんだろうと思っている。
高尾「山吹ちゃんに謝られるようなことされた覚えはねえよ??...じゃあ、また明日。」
暗い路地に消えていく高尾くんの背中は私の所から直ぐに見えなくなった。
ーーーそれから、数週間後。
ウィンターカップの予選決勝トーナメントが行われている体育館で、順調に駒を進めて来た誠凛と秀徳との試合が始まろうとしていた。
秀徳はこの試合さえ勝てばウィンターカップの出場が確定する大事な試合、もちろん誠凛も同じだが彼らはまだもう一試合残ってたはずだ。
大坪「お前たち、いいな今日はリベンジに来たがそれだけが目的ではない王者がやるべき事は優勝ただ一つだ!」
チーム「おおう!!」
今日は私は2階からの観戦だ。
秀徳と誠凛はいつも通り均衡状態が最後まで続き、挙句の果てには引き分けた。
なんとも腑に落ちない結果だが両者ともに悔いなし、精一杯の試合には試合終了後のブザーで拍手と歓声が上がっていた。
コートをチラ見すればユニフォームで汗を拭っていた高尾くんと目があった。
彼は私ににっこり笑うと右手で拳を作り私に突き出して来ているように見えた。
私もなんとなく同じように前に突き出したら、周りの先輩や同級生に茶化され、恥ずかしくって赤くなった顔を隠すように下を向いた。
その様子を黒子君はじっと見ていた事を私は知らなかった。
帰り、桃井さつきちゃんからのメールを受け一緒に途中まで帰る事になった。
桃井「あ、かえでちゃん待った?」
私「ううん、全然」
さつきちゃんの後ろからはもう一人の影があった。
青峰「よぉ。」
私「久しぶり、青峰くん!」
実にカオスな面子だが女子だけでは危ないと自らついて来たらしい。
桃井「ウィンターカップ出場おめでと!!」
私「うん、ありがとうかな。」
私達は他愛無い話に明け暮れ帰路についた。
私「じゃあ、私はこっちだから、ばいばい!」
桃井「気をつけてね。」