第7章 7話
インターハイから数週間後、夏休み明け最初のオフだった。
私は部屋のタンスの前で呻き声をあげていた。
私「あと10分なのに服が決まんない!!!」
パジャマ姿に軽く内巻きされた不釣り合いな格好。
さっきからタンスをひっくり返す勢いで引き出しを開閉させていた。
私「よし、決めたこれで行こう!」
私は鏡の前で軽く一回転すると私は慌てて家から飛び出した。
ーーー歩くこと15分。
私「ごめん、待ってたよね?!!」
高尾「いんや、俺も丁度だし全然セーフ」
私が額に軽く汗が滲んでいるのに高尾くんは涼しい顔で、あたかも今来た様なフリをしていた。
高尾「ほら、行こーぜ!」
高尾くんは汗ひとつない白くて骨で角ばった力強い右手を私の前に差し出した。
私「うん。」
私は戸惑いながらも彼の手を取った。
何だか、いつものジャージ姿から一変して私服姿の高尾くんに違和感とそれ以外の感情に呑まれそうになる。
高尾「そーいやさ、山吹ちゃん宿題終わった?」
私「え、あーちょっとわからないとこあったんだよねー。」
高尾「あとで一緒にする?」
私「うん!」
とりたえず入ったお店はちょっと高めのカフェ。一休みがてら軽く談笑していた私達。
「高尾、明日のおは朝のラッキーアイテムの収集に行くぞ。」
突然の声に私と高尾くんの二人は振り返った。
すると、そこには難しい顔をした緑間くんが立っていた。
私は驚いた顔で彼の顔を見ていたのに対し、高尾くんは一瞬目を見開いたものの直ぐに口の端をあげて笑っていた。
緑間「何をしている、早くしなければ日がくれるまで家に帰りつかなくなるかもしれんのだよ。」
高尾「あーあ。ま、こうなることわかってたんだわー、ごめんな山吹ちゃんも付き合わせてしまってさ。」
私「いーよいーよ。じゃあ、緑間くんも待ってる事だしさっさと行こうか。」
緑間「山吹、付き合わせて悪いな。だがな、ウィンターカップが近いのでな俺としては次は負けられないのだよ。」
緑間くんはメガネのブリッジを少し抑えた。
私はそんな彼の真剣な表情を見て少し微笑ましく感じた。
私「いや、全然いいよ。私もおは朝グッズもって行こうかな。」
そう言って会計を済ませ、店から出れば少し肌寒い秋の風が私達の横をすり抜けた。