第7章 7話
高尾くんと赤司の間にしばらく続いた緊張状態を断ち切ったのは高尾くんだった。
高尾「そんなにお前が引く気がないなら一つ、俺と賭けをしろ。」
赤司「何故僕がお前と賭けなど…まぁいい。」
高尾「次の冬の大会で俺のチームとお前のチーム、負けた方が山吹ちゃんの前から立ち去る。で、どうだ?」
私「高尾くん!?!」
赤司「僕が負けるとでも思っているのか?随分と舐めたことをしてくれる。いいだろう。まあ、結果など見えているがな。…悪いが約束は守ってもらうぞ。」
高尾「あったりめーだ!つーか、俺らが負けるとは一言も言ってねぇし。」
赤司「ふん。では、僕はここで失礼するぞ。」
赤司が去った後残った私達は顔を見合わせ苦笑いしていた。
高尾「俺が無茶したとか思ってるっしょ?」
高尾くんは私の顔をじっと見ていた。
私「半分ね。でも、なんかあるんでしょ?」
高尾「さすが。まぁ、強いて言うならこうなることは最初からわかってたことだから。」
高尾くんは苦笑いの上に作り笑いで私に笑いかけた。
高尾「俺は入る余地がなくて辛いわー。」
小さく、私に聞こえない様に言ったつもりだったんだろうけどがっつり聞こえた彼の独り言。
私は申し訳なさでいっぱいいっぱいだ。
ーーー会場に戻れば第二Qが始まっていた。
さっきまで私達と喋っていた彼はコートの外、ベンチに悠然と座り、どこかコートを見下ろしている様に見えた。
高尾「あー、俺絶対喧嘩売る相手間違えたよなー!」
私「高尾くん、勝とうね。」
高尾「え?」
私「私は秀徳でも太刀打ちできない相手ではないと思う。だって、高尾くん、宮地さん、木村さん、大坪さん、それに緑間くんだっているからね!」
私は高尾くんに笑いかけると少し驚いた彼は不意をつかれたかの様な驚いた顔で私を見ていた。
高尾「そーだよな!皆で勝とうぜ!!」
そう言って笑った高尾くんは白い歯が出るくらい眩しく笑った。
ーーインターハイ準決勝の陽泉対洛山はキセキの世代がフルセットベンチだった。
彼ら抜きで勝ったのは洛山だった。
正直、バスケの公式戦で赤司の試合を見るのが久しぶりの私は今日とても楽しみにしていたのに物足りなさがあった。
というのも両チーム共に何かを隠している様に感じた。