第6章 6話
緑間「何故そこで赤司の名前が出てくるのだよ!?」
紫原「赤ちんに出るなって言われたから出ないだけなのー、もーみどちんなんなのうるせー。てか、赤ちんも試合出ないんだってー。」
緑間「は?!…何故そうなるのだよ。まぁ、いい山吹行くぞ。」
私「あー、じゃあね紫原くん!」
私たちは紫原くんと別れた後当初の目的通り自販機でスポドリを買っていた。
「やぁ、真太郎、山吹」
突然後ろから声をかけられた。
緑間「お前もか、赤司。何をしているのだよ試合はもう始まるのだよ。」
赤司「ご忠告感謝するよ。だが、僕はいいんだ。それより、緑間は少し席を外してくれないか?」
赤司の口調はあくまで頼んでいる筈なのに有無を言わせんとするその口調に私は背中で汗が流れたのを感じた。
緑間くんは私の横を通り場内へ戻っていった。
彼は扉を開ける前に一言。
緑間「冬は必ずお前を倒すから覚悟をして置くのだよ。」
そう言って扉を閉めた。
緑間くんと入れ違いに私の横に立った赤司は目を閉じ口元に笑みを浮かべていた。
私がじっとその顔を見ていると目がパッと開き目があった。そうして、私は目を反らせずにいると彼の白くて長い綺麗な指が私の顎を捉えた。
赤司「以前再開した際に言った事は覚えているかい?」
私「何の事?」
赤司「…僕はお前をそばに置いておいても良いと言った事だ。」
私と赤司のもともと無いに等しい距離だったが、彼はさらに私の顔を覗き込む様にぐいっと近づいた。
赤司「が、前言撤回させて貰うよ。」
綺麗に笑う人形の様な彼の顔が私を捕らえて離さない。私の心臓の鼓動が早く打つ音が彼に聞こえてしまわない様にするので必死だった。
あー、ダメだな。
赤司「お前が欲しくなった。」
私はその言葉に頭が爆発しそうになるのを感じた。
私「ずるくて勝手なやつ。私はずっと過去と今とのあなたで戸惑っているっていうのに。」
私が赤司から目を逸らし少しさみしそうに言うと赤司は目を閉じた。
赤司「山吹の事はもう一人の僕が残した強い執着心があるみたいなんだ。それに…ほっといたら、また別の男の所へ行ってしまうんだろ?」
彼は閉じていた目を少しずつゆっくりと開けていく。
彼の双眼は赤かった。