第6章 6話
バスに乗り込むと窓際の席で一人私をじっと見ている視線に気がついた。
すぐさま見つめ返せばはにかんだ笑い顔が返ってきて少し不意をつかれた。
ーバスで15分ほど走行すれば今年のインターハイの会場に着いた。
今日は準決勝を見る予定になっている、あと30分と時間があるので私は飲み物を買いに行く為に席を立った。
私「この階段を駆け上って曲がったところで…ってあれ。」
私は階段を一気に駆け上がり、上った先の塀の所でサングラスを欠け、小さな箱を手にしている怪しき男を見つけた。
私「何してるの緑間くん。」
緑間「何故俺がわかった!?」
私「わかるよ普通に誰でも。そっちの方が目立つから、その変装はやらない方がいいよ。」
緑間「ふん。まぁいいとして、山吹は何処に行こうとしているのだよ?」
サングラスをとりいつも通り眼鏡をかけなおした緑間くんは何かの拍子に箱のスイッチを推したらしく今日のラッキーアイテムであろう箱からパンチの飛び出す随分古典的なびっくり箱に殴られていた。
緑間「ふぬぬ…」
私「何やってるの。…私は今から自販機でスポドリを買いに行こうと思ってた所だよ。」
緑間「俺もお汁粉が飲みたかった所だったのだよ。仕方ない、ついでに一緒に行ってやろう。」
何故か上から目線で偉そうなのはいつもの事なので敢えて無視し、許諾の意味も含め私は頷いた。
私「緑間くんは帰るのかと思ってたんだけど。」
緑間「帰るついでに寄っただけなのだよ。」
私「私と家近いから場所ぐらいわかるよ。反対じゃん?」
そうこう話していると前方から大きな巨体の大男が歩いているのが見えた。
緑間「紫原か。」
そう、特徴的な紫色のジャージに身を包み片手にポテチ通常の1.5倍サイズを持ったちぐはぐな彼こそ紫原敦である。
紫原「あー、みどちんとー楓ちんだっけ?」
私「そうそう、久しぶり!」
緑間「紫原、貴様こんな所で油を売っている余裕などないだろう?何をやっているのだよ!」
紫原「みどちんうるせー。何でチーム変わっても文句言われなきゃないけないんだしー。つか、俺は次の試合出ないからいーのー。」
私「どういうこと?」
紫原「んーさぁー?赤ちんに聞いてよー。」