第5章 5話
私と黒子くんペアは最終スタートのペアだ。
肝試しコースは合宿場から程近い山の上にある小さな神社に、お参りして戻ってくるというところだ。
コース内は聞いたところによれば、合宿場を出て少し歩いた先にある階段を歩くらしい。この時のこの階段が夜道で何も見えない上に長くてその上一段一段が高いらしい、階段を上がり終えたらすぐに一面のお墓畑?があるらしい。
ざっとこんな風に聞かされたものの幽霊が何処にいるとかはあまり聞かされなかった。
ただ、とりあえず先遣隊は何ペアか泣いて帰ってきているので私は少し感心した。
黒子「僕たちの番ですがどうしますか?」
至って平気の黒子くん。いつもの事らしいがお化けを驚かせてしまえるという逸材の彼の目は一切恐れを知らないようだ。
私「黒子くん見失っちゃうから腕くん出ていい?」
私は最もらしく聞こえるように強がった。
だって、やっぱちょっと怖いから腕くんでなんて言えない…というのが本音だ。
私が一方的に黒子くんの腕にしがみつく形で目的地に向かいスタートした。
暗く蛍光灯も無い道をみんなどうやって歩いたんだろう。
私はぶつくさ文句を言いながら歩き出した。
黒子「階段が見えてきましたので少しの間だけ手を繋ぐだけにとどめておいてもらってもいいですよね?」
私「えぇ!?…あ、いーよ!!」
曖昧な返事に少し困った空気を出した黒子くん。
黒子「山吹さん大丈夫ですか??階段からこけては困るので適度に距離をとらないと危ないですし少しの間だけですから。」
私は渋々了承し手を繋ぐだけにとどめた。
黒子「山吹さんてお化け屋敷などダメな方でしたっけ?」
私「なんでなんだろ、前は平気だったんだけどね。」
そう、私は普段はこういった物に対しては耐性が強い。
恐怖以上に安心できる物がその場に入れば人間は自然と安心を覚えてしまう物。
まさにそれが過去の私の中には存在していた。
それが何なのかは今は全く思い出せないが…。
黒子「今、山吹さんに必要な欠けている何かがそうなんでしょうね。」
黒子くんは私の話に耳を傾け静かにそう答えた。
彼の抽象的にも聞こえる表現は彼の表情と同じく読み取れない事がある。