第5章 5話
私の少し困った顔とほんのり赤に染まった頬は夏の穏やかな夕日に包まれて、消えて行きそうでひと時の思い出になりそうな予感がした。
私は高尾君のことも考えて、おんぶしてもらわず横に並んで歩くことにした。
高尾君の手の甲と私の手の甲は何度か触れ合うけれど遠慮があるのか、まだ擦れているだけ。
それが何となく居心地が悪くて私はそっと高尾君の顔を覗き込んだ。
その顔はまるで夕日の様に真っ赤な林檎。
体育館に戻っても高尾君は顔を赤くしたままで周りのチームメイトらに弄られていた。
BBQの最中もずっと私を遠ざけさりげなくチラ見しては私と目が合わないように目の焦点をずらしたり彼とは思えないほどおどおどしていた。
そして、BBQを終え監督やコーチ達が宿舎の自室に帰ったあとのロビーにて、親交を深めるためという名目で両チームは互いの高校生活を語り合い盛り上がっていた。
そんな空気に毒された誠凛高校の一人がある提案を持ちかけてきた。
「肝試しやろーぜー!!!」
始めは反対だった意見も多数ありなくなりかけたと思われたが以外にも賛成したのは相手の女子高生監督さんだった。
なんでも、深夜の恐怖でうっかり内部事情を吊り橋効果か何とかで喋らせたいらしい。とヒソヒソ話をしていた。
まぁ、がっつり聞こえていたわけなんですけども。
そんなこんなでペアを作るべく阿弥陀籤を引かされた。
私は紙に書かれた自分の名前と相手の子の名前を確認した。
黒子「山吹さん僕とペアのようですね。」
突然後ろに現れた黒子くんに多少の驚きはあったものの何度かここで見かけたこともありさして驚きはしなかった。
私「そうだね、知らない人とじゃなくて良かった。」
私と黒子くんが仲良く話していると後ろから一番目がスタートしたと話し声が聞こえてきた。
黒子「そういえばさっき数名がお化け役になっていましたが彼らは良かったんでしょうか?」
私はそういう黒子くんの質問の意味が少しわからなかった。
私「誰がお化け役になったんだっけ。」
黒子「さぁ?一体だれが引き受けたんでしょうかね。」
とぼけたとも取れるような黒子くんに少し怪しいと思いつつ私は気にしなかった。