第1章 1話
高尾「そっか……なら俺にもチャンスがあるわけか。」
緑間「何か言ったか?」
高尾「いんや?じゃあな、俺はこっから家近いんだわ。」
そういって彼は足早に去って行った。
私と緑間くんはラッシュの過ぎた頃のようだったので私たちは隣同士で座った。彼は変なとこで親切で私を壁際に座らせその隣の席で静かに本を読んでいる。
私をおじさんの隣に座らせたくなかったのだろう。優しい彼を見ていると身長は全然違うけど赤い髪のあいつの事を思い出してしまう。
昔、二人で電車で旅行という程の距離ではなかったけれど1度一緒に乗った時は何も言わず私を座らせレディファーストしてくれた。そんな彼はもう随分と遠い所へ行ってしまった。
単に京都と東京の距離だけなら良かったのに。
車掌「次は終点……。」
駅から私の家までは徒歩10分と行ったところにある。
緑間くんは私の家より少し離れているが回り道をしなければ15分程で家に着く。
今日は何も言わず私を家まで送ってくれた。
私「今日はありがとね。また、明日もよろしく!」
緑間「ふん。まぁしょうがないのだよ、明日も一緒に帰ってやってもいい。じゃあな。」
いつも思うけど彼は上からの割りに絶対私の事を邪険にしない。さすが、いいとこ育ちの坊ちゃん。
ふと入ろうとした時に向かいの家の二階右手前の部屋を見たが今日も電気は着いていなく真っ暗。
ここ一週間はずっと点いていたのに。昨日までは朝から晩まで家を出入りする人も見られたのに今日は門灯まで点いていない。
ガチャッ
私「ただいま。」
私の家はいつものように誰もいなく、無機質な壁に音は暗闇の中に吸いこまれていった。
何だかさみしくなって久しぶりにさつきちゃんやみっちゃんにメールをしたくなった。
文は、内容は、纏まることがなく意味のわからない顔文字でいっぱいだ。そんな自分のメールに少し元気を貰っていつものように夕飯を温め直し、お風呂に入る。時折、さつきちゃんやみっちゃんからの返信を横目にベットの上でゴロゴロ。
みっちゃんもさつきちゃんも高校はバスケ部のマネージャーをまたやってるみたいで話が弾んだ。
インターハイの予選でお互い会おうねとだけ約束をしてスマホを置いた。