第4章 4話
私「私たちは…」
高尾「俺らは所謂彼氏と彼女の関係っすよ!」
小さいけれどやけにはっきり私の言葉に食い入るように聞こえた。
幸いごく一部にしか聞こえていなかったようで私はホット胸を撫で下ろした。
そして、私はその言葉を否定しようと口を開きかけた。
赤司「へぇ」
そういう赤司は菩薩のような微笑みを浮かべていた。
が、目は笑っていなかった。
赤司「いつからそんな関係になったか知らないが、心の底から祝福するよ。」
高尾「そりゃどーも。」
そう言って高尾くんはとっさに私の手をぎゅっと高尾くんの手の中に握りしめた。私は一先ず黙っておくことにした、色々と巻き込まれたくないから。
それが気に食わなかったのか赤司は菩薩の笑顔も作り笑顔もやめ、心底不愉快そうに顔を顰めた。
実渕「ちょ、征ちゃん??!!」
その顔を見るやいなや焦った実渕さんはあれやこれやと赤司のご機嫌とりをしているようだ。
そんな実渕さんの努力も虚しく、空気をぶち壊した一名がいた。
葉山「あーあ、こんなかわいい友達とられて。かわいそうに、残念だったねあーかし!」
実・根「おおおい、小太郎ぉおお!!」
赤司は葉山さんをじっと見つめるとまた、菩薩のような微笑みを浮かべた。
後ろに般若のスタンドが見えるのは幻覚なんだよきっと!!
赤司はポケットの携帯を確認すると選手達に軽く声をかけ、そろそろ行くように促し始めた。
赤司「山吹。…僕はお前の本心がそれならがっかりだ。…でも、いいさお前に決める権利があるからな。」
私「…うん。」
赤司「…それから、真太郎に伝えてくれ。冬を楽しみにしてると。…」
私「…うん。」
赤司はそういって振り返ることもせずまた改札口の向こうに消えていった。
実渕「…二人とも、末長くいいカップルでいてちょうだいね!」
私「いえ、私たち本当はカップルじゃないんです。」
私がそう言うと高尾くんは握っていた手をそっと話していた。
実渕「あら、そうなの??じゃあ、どういう関係なの?」
高尾「俺が一方通行してるんすよ、一回振られてるしね。」
あっさりと高尾くんは答えた。
高尾「山吹ちゃんはあいつの事、赤司の事ずーっと思ってるんすよ、あんな野郎なのに。」
実渕「ちょっとあなたそれは聞き捨てならないわ!!」