第3章 3話
私達はとりあえず駅に着いたが軽く口論になった。
その理由は高尾くんが私を1人で帰らせたくないからだ。それもそのはず、夏に入った今日と言えど時刻は7時、すでに日も落ちかけ夕日が綺麗な時間は終わりを告げようとしている。
直ぐに家に着くならまだしも、ここまで電車を乗り継がないと来れない距離であるんだから当然家に着く頃は外は真っ暗だ。
高尾「俺の心配とかいいからな!!山吹ちゃん送ってくわ。」
そう言っても私も私で高尾くんを1人にさせたくない。
何処で倒れるかわからない心配がまだある。
私「いや、だめだよ!!高尾くんは早く帰って休まないと!!」
高尾「女子1人こんな時間うろつかせられるわけねぇじゃん!!もういい、俺ぜってー山吹ちゃん送ってくからな!!」
その言い草で一点張りな彼だから中々聞き入れてくれない。
高尾くんて意外と頑固で融通が利かない、一体全体誰に似たのやら??…私の知ったこっちゃないんだけど。
私「そんなに心配なら緑間くん達を待ってから帰るよ、それならいいでしょ??」
高尾「いやいや、尚更だめだわ。あいつらの試合終わんの10:00前だぜ!!そんな時間に女子1人こんなとこで待たせられるはずないじゃん。俺が一緒に帰るって!!」
高尾くんは本当に聞く気がないらしくもう切符を買おうとしていた。
私「ね、高尾くん!!」
私は切符を購入しに行った高尾くんを追いかけ、止めようとした。
その時だった、後ろから不意に誰かの手が私の左肩に触れた。
「悪いがその話、僕に代役を任せて貰えないだろうか。」
懐かしい誰かの声によく似ている。
でも、今振り返ったらその人じゃなかった時のショックが大きい、だから振り向きたくない。
…それより今、私は泣きそうになっていないかな。
高尾「は?誰だよお前。…つか部外者にそんな事頼めるわけねーじゃん。」
「僕は部外者ではない、が、まぁ疑われるのは当然だろうね。…そうだね、何て説明しようか。」
私は彼の手から伝わる人間味のある熱と突然の久々の再開に心臓の鼓動を隠すのが必死で正直に言えば二人の会話どころではない。
「僕達は所謂恋人関係のようなものだ。」
私が振り向いた先には想像ではなく本当に彼がいた。
そう、あの赤い目と黄色の目を持った彼だ。