第1章 初めての彼女//黄瀬
「キャー黄瀬くんかっこいー‼︎」
「黄瀬くーんこっち向いてー‼︎」
「いつもありがとっす!これからも応援よろしく!」
俺は部活終わりに出待ち(?)していた女の子たちに、笑顔を振りまく。
あー毎日毎日、よく飽きもせず待ってるっすよねー。
家まで付いてくる子はさすがにいないけど、どこに行っても女の子たちが待ち伏せしてて、気が休まるところがない。
実は俺、彼女っていたことないんすよねー。
セックスする女は沢山いたけど。
一人に絞ったことってないんすよねー。
どうせ、彼女が出来てもイジメだの何だのされる可能性が高いし、面倒に巻き込まれたくない。
俺の見た目に群がってくる女は、体以外興味ないし。
大抵の女は手に入るから、好きって感覚がよくわからない。
ま、どーでもいいんすけどね。
それにしても、今日の練習はキツかった。
歩きながらんーっ!と、伸びをする。
眠…早く帰って寝るっす。
家までもう少しの距離になった時に、女の人影を見つける。
…まさか、ついてきた?
…まさかね。
嫌な予感がして、女に気付かないフリをしながら早足で歩くと、その女が話しかけてきた。
「あれ、涼太おかえりー」
話しかけられたことに一瞬ゲッと思ったが、聞き覚えのある声だった。
「あ…真奈美じゃないっすかー」
ご近所さんの岬 真奈美。
小さい頃はよく遊んでたんすけど、俺が中学卒業する頃、大学のため一人暮らしをしていた。
俺が唯一、家族以外の女性で気を許せる相手。
「1年ぶりくらい?また背、伸びたんじゃない?」
「そうっすかね。真奈美は相変わらず小さいっすね!なんで帰ってきたんすか?」
「うるさい。何よソレ、実家に帰ってきちゃいけないのー?」
「そういうわけじゃないっすよ!」
「学校が休みだから帰ってきただけだよ。別に意味なんてないよ」
「へぇー!俺、一回でいいから真奈美の一人暮らしの家、行ってみたいっす!」
「えー急に何よー。涼太部活忙しいじゃないの?」
「来週の土曜、体育館開けらんなくて休みなんす!行きたい行きたい!」
「いいけど、1Kだから狭いよ?」
「そんなん全然オッケーっすよ!」