第3章 第一次14日戦争
今日は朝食もそこそこに出動要請が入り、今日の予定といえばガープさんとの訓練だけだったライを引きずって軍艦に乗せた。
今朝はあいつが1番好きな、気が重くなるようなどんよりとした曇りで、しかも朝食にカレーが並んでいて、その上昨日9時過ぎにベッドに入ったらしくおれが起こしに行く前に身支度も整えていて、槍が降るんじゃねえかと思うくらい上機嫌だった。
…なのにだ。
それなのに、なぜか今日は嫌だと散々駄々をこねられた。
普段、出動要請と聞けば、多少体調が悪かったりカンカン照りの晴れでも「海賊ぶっ殺してくる」とか物騒なこと言って部下に引かれながら元気に行くってのに。
気候と言い体調と言い朝食と言い、今日は本当に年に数回のベストコンディションだったはずだ。
…いつも着てるつなぎに穴でも開いたのか?
海賊が現れたのはそこまで遠くない島だし、午後には戻って来るだろうと思い、おれはそれから適当に書類を片付けていたがどうも引っかかる。
何か忘れてるような……そんな気がしてとりあえずその辺の海兵に声をかけた。
「なあなあ兄ちゃん、今日って何日?」
「は!?い、え〜〜…2月14日であります」
あいつの誕生日…じゃねえな。俺の誕生日も違う。
街に行く約束もしてなかったはずだし、強いて挙げるならさっき言ったように朝食にカレーが並ぶくらいだ。
他には…
「…あ」
日付を聞いただけだと言うのに几帳面に敬礼をする海兵に手を振り、なるほど、と1人頷いて思わずニヤける。
今年もこの季節ねえ…。