第1章 出会いの段
「うん!出来ましたよー!」
「わぁい!!」
囲炉裏で煮込んでいる鍋をかき混ぜながら教えてくれた土井さんの言葉に喜ぶきり丸君
食器類を出すのを手伝い、3人で鍋を囲む
「すみません。お手伝いさせてしまって…」
苦笑する土井さんに首を横に振りながら
「いいえ、頂くだけなんて申し訳ないですから。」
「助かります。さぁ、食べてください!」
山菜が沢山入ってるお鍋からそれぞれの分を取り分け、3人で両手を合わせ
「「いただきます。」」
お鍋の汁を飲み、煮込まれてる山菜を食べる
「…美味しい……」
無意識に出た言葉
ふと視線を感じ前を見ると、優しい笑顔の土井さんと目が合う
「良かったぁ……自然な笑みが出ましたね。」
「え?」
「あっ!いえ!…さっきの挨拶の時の笑みも素敵でしたが、今のは自然な笑みというのが見えて嬉しいんです。」
照れながら笑う土井さんにクスクスと私も笑ってしまう。
「土井先生!お代わり!!」
「おっ!早いなぁ〜!」
「イシシッ!」
元気よくお代わりを求めるきり丸君
それに応える土井さん
こんな夕食は久しぶり?
前はいつだろう。
ずっとアノ仕事で食事なんて取れる時にしか思わなかった…
ふと脳裏に浮かぶ仕事内容に首を横に振り、目の前の温かな食事を口に運んだ。
そんな仕草を彼が見逃してる思っていたが…
それは気のせいと私は知らない。