第3章 好きになったら……
「元カレにも平気で股開いてひぃひいよがって感じてたんだから、今更俺を好きとかってのはないだろうしな、ハハ……」
乾いた笑い。
最初から「ない」ことが答えだと決めている、問いかけ。
「あ、もしかして木兎とヨリ戻すとか? だから俺、お払い箱、みたいな?」
何気ないクロ言葉が、心にささる。
容赦なく。
「……そんなんじゃ」
そんなはずない……
言いかけて、
「そう、かも……」
口が勝手に動く。
「は? マジで?」
いきなり立ち上がったクロに腕を取られる。
「な、離して……」
「おまえ、ホントに木兎とヨリ戻すつもりなのか?」
「……なんでそんなこと訊くの?」
「ウソだろ、あの木兎だぞ」
木兎は相手が誰でもいい。
セックスできれば、誰でも抱ける。
それをクロはよくわかってる。
「……だからなに? また付き合おうって木兎に言われたし……」
「そんなの口だけだっておまえが良く知ってんだろ」
そんなこと、私が一番知ってる。
木兎と付き合って、心も身体もボロボロだったこと。
人間として嫌いになったわけじゃないけど、二度とこの人とは関わりたくないって思ったこと。
その後偶然出会ったクロの存在に慰められたこと。
いつからかセフレ関係になってた。
でも、クロは優しかった。
口は悪いけど、一緒にいるときは、私のこと、見てくれる。
いつも私の身体しか見てない木兎と違う。
でも……それ以上のモノが欲しい。
そう思ってしまったら、もう……
自分をごまかすしかない。
クロをごまかすしかない。
「でも木兎はまだ私の事気に入ってるみたいだし」
「バカか、あんた」
大きな手が、私の頬から首すじを撫で、すっと身体の線に沿って腰まで滑り落ちる。
「あいつはあんたのこと気に入ってんじゃなくて、あんたのココがいいんだって」
ぎゅっと股の間を鷲掴まれた。
「あっ……やん……っ……」