第4章 二口堅治 プール掃除
「…めっちゃ俺のタイプ」
「いや、そういうことじゃなくてね…」
「俺ばっか答えてお前答えてねーじゃん。お前は?いんの?」
「いるよ」
(即答…そんくらい好きなヤツなのか)
「私の好きな人はね、身長高くてねーチャラチャラしてそうに見えて意外と面倒見よくてねー負けず嫌いでねー」
(訊いてないのに話し出したよ…しかも抽象的過ぎて誰かわかんねー)
「あっ」
「えっ、なに!?」
「お前の好きなヤツって及川…」
「…」
(……まじっすか)
「及川って誰?」
「えっ?」
(及川知らないのか…じゃあ誰だ?茂庭さん?いや違うあの人チャラくねーし。鎌先さん?は絶対違う)
「お前の好きなヤツって俺が知ってるヤツ?」
「あはは!、そだね。もう知り尽くしてるってくらい知ってるんじゃない?」
(なにがそんなに面白いんだよ…俺と仲良いヤツなのか?)
隣ではケラケラと楽しそうな笑い声
「もうここまできたんだから教えろよ…」
「二口が教えてくれたらいーよ」
こういうカケヒキみたいなのは嫌いではない
「お前そんなこと言っていいのか?俺のTシャツの貸しを忘れたんじゃないよな…」
「Tシャツくらいでちっさい男だな~でもいいよ。教えたげる」
(知りたいような、知りたくないような…。てか俺と仲良いヤツなんだよな…普通に接せるか…?)
「私の好きな人は、私が今着てるブッカブカのTシャツ貸してくれた男だよ」
(ん…?)
意味がわからず数秒フリーズしてしまう
(えっ、あれっ!?それって…)
「あーあ言っちゃった。…ねぇ二口は?二口の好きな人は誰?」
真っ直ぐと見つめられる真剣な表情を見てしまえば嘘はつけない
バクバクと速くなる鼓動を諫めるように瞼を閉じて深呼吸する