第3章 第一章三部
「こいつが居なくなったって、誰も悲しみはしねえ。親には適当な事言っとけばいいんだよ。
──秀、お前そういう言い訳作るの得意だろ?」
「ああ」
俺の周りに居るのは悪魔か。人が目の前で声も上げずに燃えているというのに、誰一人として悲鳴を上げない。
何事も起きてないかのように振る舞う彼らを前に、俺の手は震え続ける。
燃え盛る炎の中、顔のような物体がジッと此方を睨んでいた。
『オマエノセイダ』
まるでそう言っているかのように、焼け焦げた顎が下へと落ちていく。
パチ……パチパチ……
断続的に聞こえる火花の散る音。
ジュウウウ──
肉が焼き上がる美味しそうな音。
例え本当に人肉が美味しいんだとしても、現実的には食欲など全く湧かない。
「あぶねえ、あぶねえ。これも始末しとかないと──」
そう言って火に向かって投げ込まれたのは、恭輔の服。
なぜ服が地面に落ちていたのか不思議だったが、血の付着したノコギリが焼却炉の前で転がっていた為、その理由がすぐに分かった。