第3章 第一章三部
太陽が顔を出し、辺りが明るくなり始めた頃。恭輔の身体を蝕むんでいた炎の威力は弱まり、今にも消えてしまいそうだ。
高松さんに火の番を任されていた俺は、火を絶やさないようにガソリンを足したり枝をくべたりと、一晩中動き回っていた。
そのおかげで、両手は真っ黒。服は汗で重みを増し、足の裏のような異臭を放っている。
(早く帰りたい)
途中、何度も逃げ出そうかと思った俺だが、高松さんに任された以上それは不可能。ただただ、言われた通りに動く他ない。
「何燃やしてたんだ?」
眠気と疲れで苛々が頂点まで達してきた頃。同じく火の番を任された太一が、俺の隣へしゃがみ込んで訊いてくる。
太一は恭輔が死んだことをまだ知らない。正確には、俺が知らせていないだけ。
「ごみ」
俺は適当な嘘を吐き、木の枝で焼却炉の中をつつく。
幸運な事に骨のような物は焼け残っておらず、大半が灰と化していて何を燃やしたか分からない状況。だから、嘘を吐いてもバレる心配は無かった。