第3章 第一章三部
「急に変な音を出してんじゃねえ!! 殺すぞ!!」
バクバクと暴れる心臓を押さえていると、立ち止まった男は急に振り返り、俺に向かって声を張り上げた。
威張っている割には小心者らしい男は、死んだ恭輔を彷彿させる。
「すいません」
事を荒立てないよう、俺はその場で謝った。
「……たく」
そのおかげか、彼が何かをしてくる気配はないようだ。
それよりも、こんな時間にメールを送ってきたのは誰だ?
慌てて携帯を開くと、宛て名にはいつも利用しているサイトの名前が。
どうやら、またミニメのようだ。
(誰だよ、めんどくせえ)
少し苛立ちながらなん気なしにサイト開いてみると、そのミニメの送り主に俺は驚愕(きょうがく)した。
なんと、送ってきた相手はアクセス拒否をしたはずの女、“マミ”だ。
「な、なんで──」
思わず出してしまう声。
「どうかしたんか?」
驚いて目を見開いた俺に、携行缶を抱えた太一が首を傾げて訊ねる。
「べっ別に──」
俺は首を横に振ると、マミからのミニメを見ずに画面を待ち受けへと戻した。
ミニメを開く気など到底起きなかった。
なぜなら、『拒否をされているのにもかかわらず、再びメールを 送ってきたこと事態が気持ち悪い』と、感じたからだ。