第2章 第一章二部
色々な事を考えていると、パッと明るい光が俺を照らす。
あまりの眩しさに瞬いていると、黒い何かが此方に近付いてくる。
「大丈夫かー?」
聞き慣れた声がした。この当たり障りのない清んだ低い声は、たしか安藤さんだ。
「安藤さん、眩しいっス」
「……ああ、悪い悪い」
手で光を遮りながら言うと、安藤さんは明かりを消した。
どうやら、携帯の照明機能を使っていたらしい。これが高松さんなら、
『うるせえ、我慢しろ』
などと、逆に怒鳴り付けられていただろうが、安藤さんは彼とは違い気の利くいい人。だから、先ほども高松さんを止めるような真似をしていた。
「死んでたか」
恭輔の側へ寄った安藤さんは、“やっぱり”という顔で恭輔を見ている。
「……すまなかった」
彼の良い所は、悪臭漂う死体に向かって手を合わせている事。
サラサラの黒髪が良く似合う好青年の彼は、強姦や喧嘩にも加わらず、薬もせず、なおかつイケメン。性格の良い彼が、なぜ高松さんと行動をともにしているのかいつも不思議でしかたなかった。
それに、高松さんの方も安藤さんを利用している素振りは見せないし、どちらかと言うと、仲が良いようにも見える。