第2章 第一章二部
「友達がこんなことになって辛かっただろ。こんなことに、捲き込んで──ごめんな」
「あ、いや……そんな──」
申し訳なさそうな表情をしている安藤さんを前に、俺は本当の事を言えずにいた。
こんないい人の前で、
『死んで清々してた』
などと、言えるはずがない。
「……しょうがないッスよ。安藤さんが悪いわけじゃないし」
「でも──」
「俺、恭輔を助けられなかったこと後悔してるんです。だから、せめてもの償いで墓でも作ってやろうと思って──」
俺はきゅっと唇を噛み、いかにもくやしそうに見せるため拳を握る。
俺は、とんだ嘘つき。ピエロみたいな男。
歪んだ仮面の下で、高々と口元を吊り上げ笑っている。
「……そうだな、そうしよう。
──でもこのまま埋めても獣に食い荒らされるだけだろうから、俺達の手で火葬してやろう。骨を砕いて地に返してやれば、恭輔も浮かばれるんじゃないか?」
しかし、安藤さんは俺よりも一枚も二枚も上手だった。
一見良心的な事を言っているように思えるが、裏を返せば彼が言っているのは、『証拠を残さずに恭輔の死体を始末する方法』。
(本当に恐いのはこの人かもしれない……)
悲しそうな表情を浮 かべる安藤さんを前に、俺はひそかにそう思っていた。