第4章 働きもの
『隼斗くん…それ手作りですか?』
「ん?そーだけど?」
彼の弁当箱からは色とりどりのおかずが見え隠れする。見るだけで食欲をそそられる。
『うわ…すごいです!美味しそう。』
「だろ?俺、料理するの得意なんだよ。一口食うか?」
彼からのいきなりの申し出に、私は一瞬硬直する。
『え…?わ、私そんなつもりじゃ!大丈夫です、お昼ちゃんと持ってきましたから。』
「どうせまたコンビニ弁当だろ?そんなんじゃお前、栄養偏るぞ。」
的確な指摘にぐうの音も出ない。確かに最近はコンビニ弁当やファストフードばかりだ。
そのためか、少々体型が崩れてきた気がする。そのことを抜きにしても、彼の申し出は魅力的だ。
__________ゴクン…
目の前に差し出された、アスパラガスの肉巻きの香りに喉が鳴る。一口くらいならいいだろうか。空腹にこの状況とは、軽い拷問にさえ思えてくる。
「ほら、あーん!」
『んぐ!?』
痺れを切らした隼斗くんが口にそれを押しつけてきた。口の中にアスパラガスのいい香りと程よい肉の脂が広がる。
『んぅー…!美味しいです…!!』
「な?美味いだろ!」
私が幸せに浸っていると、隼斗くんの満足そうな笑みが視界の端に映る。
他のおかずが気になりつつも、彼にお礼を告げ、頭を下げる。
『ありがとうございました。ほんと幸せでした。』
「お前ほんとうまそうに食うよな!なんか餌付けしてる気分。」
彼はハハッと笑いながらそんなことを言ってくる。食べているときの自分の顔など見たことはないが、おそらく相当間抜けな顔をしていたであろう。
「よし、決めた。俺が時間あるときに今度はお前の分も作ってきてやるよ。」
『え?!そんなの悪いです…!私の分は大丈夫ですから。』
「いいからいいから。お兄ちゃんに任せなさい!』
普段はお兄ちゃんという雰囲気をあまり感じさせないが、私の頭を撫でながら話す彼に、少なからず、兄のようなものを感じていた。