第3章 あれから1年
教室に差し込む光で優しく光る、まるで深海のような深い美しい藍色の髪。俺を写す瞳は氷のように冷たいアイスブルー。その瞳に俺が写っていることに鼓動が煩く叩きつける。目の下には薄く隈が見える。しかし、その隈さえも彼女の魅力を掻き立てる要素となっていた。瞳を彩る肌はまるで雪のように白い。
彼女がいる空間だけ一つの芸術のようだった。
見とれている俺に彼女の形のいい唇が音をなす
『…何か用か』
高すぎない、とても聞き取りやすい透き通った声。
掛けられた言葉と不機嫌そうな声も相まって俺は初めて女の子にそんな態度で話されたことで心が歓喜に震える。
嬉しくなった俺は再度話しかける。
「俺は幸村精市。同じクラスなんだね。よろしく。」
いつも、相手からよろしくと言われ表面だけの笑みを出す俺が、久々に自分から言った。
どんな反応を返されるか。嫌な顔をされるかな。返してくれなかったらどうしよう。胸で脈打つ鼓動がいたい。
少しの間俺を見つめた彼女。
『私は虎咲 希。よろしく。』
返してくれた。
虎咲希さん、か…
名前を知れてどこか親しくなれたような気がした。
そのまま俺は彼女の隣の席へと座った。俺はどんどん話しかけた。彼女は少し驚いた顔をしたものの話しかければ応じてくれた。
それが彼女との出会い。