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第7章 決意


食堂を出た後、2人は無言であのデッキに向かった。

消灯時間が過ぎてから兵舎内をうろつくのは良くないが、2人共どうしても行きたかった。

話し合って決めた事ではない。

足が自然と向かっていた。

デッキに着くとかつてリヴァイに告白された時の事を思い出した。

ベンチに座ると自然とエミの頭がリヴァイに委ねられる。

「兵長、明日は無理に見送りに来なくて構いませんからね」

「…分かってる」

リヴァイは静かに答えた。

明日の見送りには少なからず幹部以外の兵士も来るであろう。

「あっ!」

エミが不意に声を出すとリヴァイの手に指輪を置いた。

「もう少しで忘れる所でした」

微笑んで言ったエミの顔は何処か切ない。

リヴァイは指輪を眺めた。

「これがお前なのか」

「はい。
それは兵長から頂いた大切な指輪です。
いつも持ち歩いてたので、私の心も入ってますよ」

そう答えるエミをリヴァイは見る事が出来なかった。

「兵長の背中は重い物を背負っています。
それは人類の為に戦った兵士の願いや人類の希望です。
そして今度は私の事を背負う形になってしまいました。
でも私は1人でも大丈夫ですから安心して下さい。
私は兵長だけの物ですから」

それを聞いてリヴァイはやっとエミの顔を見るとそこには涙は無く、優しい笑顔で見つめてくる彼女が居た。

「もし私の身がどのような形になろうと、私は兵長だけを想い続けます」

その言葉を聞いてリヴァイの気持ちが少し軽くなった。

「泣き虫なお前が泣かないとは珍しいな」

「そんなに泣いてました?」

「しょっちゅうだ」

そう答えて2人は笑いあった。

「ハンジのサプライズはどうだったか?」

「凄く楽しかったです。
ここ最近は考えたくもない事を考えてしまって憂鬱でしたが、それも吹っ飛びました」

「ほぉ...
それを聞いたらハンジは大喜びだな」

「でしょうね」

クスクスと笑うエミにまた1つ質問をする。

「あのプレゼントの山はどうするつもりだ?」

「勿論持って行きますよ。
何が入っているかは形で大体予想出来てます」

「もしかして大好物の本か?」

「はい。
暫くは暇潰しになりますね」

「どんだけ好きなんだ…」

「兵長のほうが好きです」

そう答えるとデコピンされた。
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