第7章 決意
久しぶりに部下達と話したがこんなに楽しいとは思っていなかった。
同期は居ない。
初めての壁外調査で半数以上が亡くなり、今残っているのはエミだけだ。
「エミさんが内地に行くって聞いて驚きましたよ!
出世ですか?」
「そうだね〜」
冗談で言われた言葉に冗談で返す。
調査兵団を離れるのは嫌だったが本当の事は絶対に言えない。
とにかく今日は楽しく過ごしたかった。
雑談で盛り上がっているとリヴァイとハンジがやって来て消灯時間が来た事を告げる。
「内地に行ってもエミさんは自分達の上司ですからね!」
そう言いながら皆私室に戻って行った。
その姿を見送るとエミはハンジの方に振り向いた。
「ハンジさん、有難うございました」
「そんなお礼なんかいいよ〜
私が勝手にやった事だからね」
「そう言う割には俺も巻き込まれたが」
「当たり前でしょ!
婚約者様は大切な彼女を見張ってないと気が...グフッ」
リヴァイの拳がハンジの腹に当たった。
「ハンジさん、大丈夫ですか...?」
「大丈夫大丈夫!
いつもの事だから」
そう言って腹を摩りながら笑顔で答えた。
「あっ、そういえば明日なんだけど朝8時に出発するってエルヴィンが言ってたよ」
「...早いですね」
「まぁ内地まで遠いし、色々手続きをしなきゃいけないからじゃないかな?」
リヴァイは近くにあった椅子に座り無言で話を聞いている。
「もしかして王との謁見もあるんでしょうか...?」
「中央だから当然あるだろうね。
でも心配ないよ。
エミならどうにか出来るよ」
いつも通り明るく振舞うハンジだがエミには分かっていた。
中央に行けば王の傍から離れられない。
最悪の場合、謁見後に処刑を言われる可能性だって有り得る。
「私はいつまで憲兵に身を置く事になるんでしょうか」
「それは分からないね。
でも必ず王から離れる時が来るよ。
それまで我慢するしかないかな」
「やっぱりそうですか...」
俯くエミを見てリヴァイは「もう良いだろ」と言ってエミを連れて食堂を出ようとすると、ハンジが慌てて声をかけてきた。
「リヴァイ、明日はちゃんと見送りにおいでよ」
聞いてるのか聞いてないのか分からないまま、リヴァイはそのまま食堂を出た。