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第7章 決意


翌朝6時に目が覚めたエミは自分の部屋を見渡す。

憲兵の兵舎に持って行く物は昨日誕生日プレゼントでくれた本の山と衣類。

そしてリヴァイがくれたクラバットだけだ。

エルヴィンから事前に部屋は置いておくから必要最低限の物だけ持って行くように言われていた。

まだ誰も起きていない時間だが朝食だけは食べて行こうと食堂に向かう。

すると食堂に近付くにつれて何か良い匂いがしてくるのに気がついた。

調理室を覗くとリヴァイが手際良くご飯を作っている。

「こんな朝早くから何されてるんですか?」

「見れば分かるだろ。
料理だ」

「お腹でも空いたんですか?」

リヴァイはエミをチラッと見るとため息をついた。

「いつもの時間だと出発に遅れるだろ。
飯抜きで内地まで持つと思うか?」

その言葉でリヴァイがエミの為に朝食を作ってくれているのが分かった。

調理台に置かれた皿を見るといつもと違いかなり豪勢で美味しそうだ。

「食うなら食って構わない」

「本当ですか!?
ではお言葉に甘えて頂きます」

そう言って調理台の横に置かれていた簡素な椅子を持ってきて食べ始めた。

「おい、食うなら向こうで食え」

「ここが良いです。
って、美味しいじゃないですか!」

リヴァイらしく几帳面に盛りつけられた料理は味もかなり美味しかった。

喜ぶエミを見て調理器具を洗うリヴァイは思わずにやける。

夢中で食べているとリヴァイが何かが入れられている袋を渡してきた。

「弁当だ」

驚いたエミは口の中に入っている食べ物を噛むのを忘れそのまま飲み込み弁当を見つめた。

「これも兵長が…?」

「俺は元々料理は得意だ」

「ほぉ…それは初耳だね」

いきなり声がして2人揃って入口を見るとエルヴィンがにこやかに立っていた。

そしてエミの食べかけの食事を見ると関心する。

「私の分はあるのかい?」

「てめぇのは弁当だけだ」

「酷いなぁ」

苦笑いしながらエルヴィンは残念がった。

「エミ、食事が終わったら荷物を馬車に運ぶよ」

「はい」

そう言って急ぎながらもきちんと味わいながら食べて皿を洗う。

リヴァイは既に荷物運びの準備の為に馬車へと向かっていた。

皿洗いを終えると自室に戻り準備していた荷物をとりあえず廊下に移動させる事にした。
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