第7章 決意
「お前を失うのが怖かった。
巨人と戦っている時のお前を見て、死に急いでいるようにしか見えなかった。
巨人に食われる姿を見るより、憲兵に行かすほうがマシだとも思った。
だが...」
そこまで言ってリヴァイはエミの体に身を委ねるように、そして顔を隠すように密着してきた。
「どの道お前に会えねぇって考えると、苦しくなるもんだな」
エミは優しく答えた。
「大丈夫ですよ。
兵長は私のように死に急ぐような人ではありません。
だから必ず会えると信じる事にしたんですよ?
自分を責めないで下さい」
そう言って普段は見せない兵士長としての威厳が感じられないリヴァイの頭を包み込むようにエミは抱き締めた。
リヴァイだって人間だ。
だが兵士長としての威厳を保つ為にいつも睨んだり力で相手を負かしたりしているが、本当は心は弱い。
エミには分かっていた。
孤独だからこそ強くなれる。
戦闘力はどうしても向き不向きが出てきてしまうが、精神力は違う。
それはエミも一緒だった。
リヴァイは兵士としての見本を見せなければならないが、エミはそれが必要で無い。
だから今までリヴァイの弱っている姿を見た事は無かったが…
粗暴ながらも自分の事を気に掛かてくれていた。
本当は温かくて優しい人だ。
補佐になってからリヴァイの知らない面を知り、恋人になると割れ物を扱うかのように自分を大切にし、今回も心を犠牲にして自分を内地に行かせる。
これがリヴァイによって仕組まれた事だったとしても、考え無く行動する人ではないので、エミは何も聞かなかった。
ただ自分の事を忘れないでくれれば良い。
そんな事を考えていると涙が溢れてきた。
リヴァイもそれに気付いたらしく、顔を上げて覗き込んできた。
リヴァイの目も多少腫れている。
「大丈夫か...?」
そう聞かれて、何も答えずにリヴァイの額にキスをした。
「気にしないで下さい」
微笑みながら言うとリヴァイは頭が同じ位置まで来るように体をずらし、エミと同様に額にキスをする。
リヴァイとまた会いたい...
その為なら憲兵に何をされようが負かせて自分の立場を確立してみせる。
エミはそう誓った。