第5章 悪魔の微笑み
同じ頃。
「……グー……ガー……。」
誠也は寝ていた。
イビキをかきながら。
しかし、誰も注意しない。
教師でさえも、まるで空気であるかのように気付かないフリをしている。
それは、皆知っているから。
彼の眠りを妨げるとどうなるか。
一人の生徒は想像してしまって身震いした。
「よく寝るなぁ、今日は。」
西村は笑いながら彼を見ていた。
「昨日眠れなかったんじゃないか?」
そう言って、藤崎は黒板に書かれていることをノートに写していた。
「拓、お前よく勉強する気になるな。」
「まぁ、不良でも勉強しねーとダメだって思うんだよ。」
そう言いながらも手は止めない。
「へぇ……そういうもんかね。」
西村はそう言いながらも携帯を取り出した。
ゲームをするつもりなのだ。