第5章 悪魔の微笑み
「あー、傑作傑作。」
夜。
クラブのVIPルームで酒を飲みながら高嶋が笑った。
「あれで、よかったんスかね?でもすぐに出てきますよ?」
鼻に傷テープを貼った宮元が高嶋を見ている。
「いいんだよ、ただの"遊び"なんだからよ。」
両脇に置く女とじゃれあいながら言った。
「やん。」
女達がくすぐったそうに笑っている。
「にしても、秋本もムカつくがアイツの女も腹が立つ。」
高嶋の眉間に大量にシワがよった。
「って女っスか?結構可愛い―――」
「だからなんだ?」
「いえ……なにも――。」
黒髪の男が口をつぐんだ。
「女が俺に歯向かって言い訳ねぇだろうが……なのによぉ。」
高嶋は昨日の出来事を思い出していた。
自分の前に立ちふさがった女を。
凜とした態度で自分に意見をハッキリと言った女を。
思い出すだけで怒りの炎が燃え上がる。
――女は男に尻尾だけ降ってればいいんだッ!!
「潰してやる……。」
再び酒を口に含んだ。