第4章 逃亡
ウ――――ヴゥ――――
煩く鳴り響くサイレン。
「ハァハァハァ――。」
乱れる呼吸。
顔、手、そして身体、どこもかしこも赤黒い血に染まっている。
殺った。
いや、殺した訳ではない。
ただそれに近いことをしただけ。
「ククククク――………。」
不気味に笑い、行く末も定まらぬままただひたすら歩いていた。
そして、囲まれた。
白と黒にペイントされた赤の帽子を被ったモノに。
それから降りてくるもの達が男を押さえ込む。
後ろに手を回され、かけられる冷たい手錠。
「はなせぇぇええ!!」
男は叫んだ。
何度も、何度も抵抗し続けた無駄な足掻(あがき)。
二人の男に引きずられながら車に乗せられる。
パタン―――
ゆっくりと閉められたドア。
薄暗い窓ガラスから見えたその顔は鬼のような高嶋の顔だった。
それは、今から2年前の話。