• テキストサイズ

レッテル 2

第21章 感情


彼の言うことは最もだと棗は感じていた。

今まで独りぼっちだった亜久里。

自分達のリーダーなのに探しもせず、偶然見つけただけなのに苦労して見つけたような口振り。
ほったらかしのくせして、都合のいい時だけ利用する。


知らぬ間に傷付けていたことに気づいた棗は、なにも言えずにいた。


「もう、俺に関わるな……。」

そう言って立ち上がろうとする亜久里。
なぜか、服が妙に重い。
振り向けば、が服を掴んでいた。

「……スー……スー……。」

聞こえてくる寝息。
どうやら無意識のようだ。

「………。」



"関わるな"


そう捨て台詞を吐いたのにもかかわらず、振りほどけないか細い手。
どうしていいか分からない彼は、再びベッドに腰をかけた。


「………。」

「………。」

今の空気ほど気まずいものはない。
棗もまた同じ。
スヤスヤと無邪気に眠る姉が羨ましくて仕方がなかった。


/ 542ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp