第20章 債務者と書いてカモと読む
"あったあった、本物(ものほん)は女教師モノ……今から持っていこっか?"
再び聞こえてきた翔の声は相変わらずノーテンキで腹が立つ。
「いらねぇ!!お前のせいで大変なことになってんだよ、こっちは!!」
"え?"
「お前、明日コロス。あと三千円も返せよ。逃げたら……パイプカット決定。」
低く吐き出す言葉。
半分本気で半分嘘。
"え?うそ?ごめん、ごめんね誠也ちゃん!!"
だけど翔はあっさりと信じる。
「……明日覚えてろよ。」
そう言って断った通話。
今、あいつがどんな顔をしているかなんて安易に想像できる。
仲間だから。
思わず笑いそうになった。