第19章 君、金と薬に溺れていくことなかれ
棗がベッドでぐっすりと眠る中、亜久里は眠れずにいた。
理由はただ一つ。
"薬"
身体がそれを欲していた。
冬なのに妙に吹き出る汗。
喉が水分を欲している。
それどころか、先程から無数の目が見ているような気がした。
全ては依存から来る"幻覚"。
「ハァ………ハァ………。」
乱れる息は治まる事を知らない。
破壊的衝動が全身に駆け巡る。
薬を買えなくなって何日か経つ。もう限界だった。
肉体的にも、精神的にも。
――やはり、ここにいるべきじゃない。
自分を受け入れてくれた人達を、これ以上傷付けまいとフラフラと立ち上がった。