• テキストサイズ

レッテル 2

第3章 もう一人の男~



「もう戻ってくるなよ。」

どんよりと曇った空の下。
少年院と記された門の前で、初老近くの男が言った。

「うッス。」

黒髪の短い髪の男が小さく呟く。
片手には黒い布地の大きなバックを持ち、男は軽く頭を下げだ。
そして、歩き出す足。
冷たい風が肌を突き刺す。

「あー…やっと出られた。」

そう吐き出された口の口角が高くつり上がる。
一歩一歩進めていく足が軽やかに見えた。

男の目的地はもう決まっていた。
だからなのか、進める足に迷いがない。
電車を乗り継ぎ、ある駅で男は降りた。

「帰って来たぞ……て出迎えはねーんかよ?つまんねーなぁ。」

男はそう呟くと、また歩き出した。






/ 542ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp