第14章 喧嘩の渦
「なんとかうまく誤魔化したみたいだな。」
学校から走り去っていく車達。
藤崎は、それをフェンス越しに見ながら呟いた。
「………別に捕まってもよかったんだけど。」
「はぁ?人の恩を仇で返すような言い方すんじゃねーよ。」
清治の言葉に西村があきれたように声を出した。
「誰も"助けて"とか言ってないし。あんた等が勝手にやってる事だろ。」
「テメェッ!!」
激しく掴む胸ぐら。
西村の目が清治の顔を睨み付けている。
「やめろ、清!!」
「でも!!」
「やめろ。」
低く吐き出される声。
藤崎が真剣な表情で西村を見ている。
「……分かった。」
西村は小さく呟くように言うと力なく手を放した。