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レッテル 2

第10章 喧嘩王子


「あぁ、けっさくけっさく。」

そう言って走る宮田。
お酒を何杯も飲んだせいか、額に汗がにじんでいる。
けれど、前からくる冷たい風が肌に当り、ひんやりとした感覚を彼に与えている。

「待てコラァッ!!」

遠くから聞こえてくる、先程の男達の声。
振り向けば、ゾロゾロと走っている群れ。

「さいっこうッ!!」

その光景に、何故か宮田は興奮していた。
ゾクゾクする感覚と、喧嘩への熱い闘志が彼の中で涌き出ている。

「クソガきゃあ、ケツ割り(逃亡)ばっかしてからに!!」

追いかけてくる男達が叫んだ。

「ケツ割りってなんだよ?業界用語使ってんなよ、オッサン!!」

宮田も負けないくらい叫ぶ。

「じゃかぁしいわ!!逃げんな言うとるやろうがッ!!」

「逃げる?」

宮田の足が止まった。
その横を人が通り過ぎていく。

「やっと観念したか。」

そう言って遠くから近付いていく男達。

「逃げるって…誰が?」

宮田がゆっくりと振り返った。

ダッ―――

そして、走りだす。
今度は男達に向かって。


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