第10章 喧嘩王子
「何がおかしいんや?あ?いてこますぞ、コラ!!」
そう言って掴まれる宮田の胸ぐら。
無理に立たされる足。
でも、手はお酒の入ったグラスを握りしめている。
「ワリャが何したんか分かっとんのか?あ?」
男の顔が近い。
力の入った目が、宮田を睨んでいる。
「ぜーんぜん。」
けれど、宮田はまだ笑っている。
バシャアッ―――
それどころか、グラスの中の酒を、男の頭にかけた。
「クソガキがァ……。」
男のこめかみに浮かぶ青筋。
「このガキ殺って、山ん中埋めたれや!!」
ドスの効いた声で振り向いて叫ぶ男。
あまりの勢いに唾が飛んでいる。
「へい!!」
返事をして、宮田の真横までくる筋者達。
宮田に手を伸ばす。